2024 July ARTWORK

7月にお披露目した原画8点のご紹介です✧既存作品の購入をご希望の方はサイト上の[PARCHASE]ページをご確認ください。またその他の作品は肌芳Instagram投稿でもご覧いただけます。https://www.instagram.com/_____me.o


「記憶の戸棚」

160mm×220mm ellipse canvas

Acryl on canvas

¥40,000(購入可)

思い出せない過去のこと、それは誰にでもある秘密の引き出し。

「杖はどこに置いたっけ?」

忘れ戸棚が沢山埋まったこの地で落とし物なんて、見つかる方が不思議なこと。

目印にと結んだ花結晶の種の姿を思い浮かべ、記憶を凝らすと遠くに神殿の脚が見えてきました。

「あれだ、確かにあそこに立て掛けたよ。」

そう思い出した途端に、“コトン”と探していた一段が戻ります。

暫く歩いて近づくと、杖に結晶は付いておらず側には大きな生き物の足跡。

そして少し傷の付いた探し物だけが残っていたのでした。


「雫を練る狐」

160mm×220mm ellipse canvas

Acryl on canvas

¥38,000(購入可)

コンコンと大きな雪狐が鳴いて、それが合図かのように足跡が増え霜が溶けていきます。

「わたしも寝床への招待券が欲しいな」

望遠トンネルの先にある狐街では、夜空のような珠玉が手土産にと交換されていました。

「彼らはなにを食べて生きているのだろう」

目の前の美しい宝石に心惹かれることよりも、小さな手足で丁寧に丸められたその雨粒、いや夜の欠片がその価値をもって旅人から何を得るのか。

私はそれが気になって仕方がないのです。

だってここはとても冷たい色の世界と聞いていたから。

私の分厚い日記にまた特別な記憶が残せそうです。


「歪な透明と蕾」

100mm×150mm rectangle canvas

Acryl on canvas

¥20,000(購入可)

少し歪な透明が空を覆っています。

夜に焦がれても届かない地に来てしまったと、温室の中で蹲る。

「あの星に触れたい」

願いの元と聞き連れてきたサンカヨウは未だ蕾のままでした。

一向に辺りが明るくならないことを不思議に思いつつ瞼を落とすと、次に見た天井の透明は永遠と伸びる蔓に押し負けていました。

「夜がよく見える。蕾は?」

「あの夜の側だよ」

そう言われた言葉を理解する間も無く、わたしの視線は空へ。

昨晩まで隣に居たはずの願いの元は、代わりに夢を叶えていたのです。

「綺麗だ。けれど私が、私の目と指先で叶えたい。着いてきてくれる?」

少し前に竦み蹲った脚のことなどはもう忘れていました。

長いかもしれない、すぐかもしれない。わたしたちは同じ夢の旅を続けます。


「紫水晶の小包」

150mm circle canvas

Acryl on canvas

¥30,000(購入可)

“化粧棚いっぱいに集めた星屑を、夜空に透かして色分けする。”

いつもの通り作業をしていると、少し感触の違う水晶を見つけました。

紫が見え隠れするその宝石は、何かを包む小包なのではないかと手の中でころころと傾けてみます。

「甘い種かな?プリズム?」

これが何であっても、わたしの空の研究棚はまたひとつ煌びやかなおめかしを遂げたのです。


「透明種のユメ」

100mm×150mm rectangle canvas

Acryl on canvas

¥20,000(購入可)

ここから見る景色は、いつも煌びやかでした。

天の川を流れ深い夜を漂って。

多面鏡に包まれたかのように、ひとつの世界が沢山の光となってわたしの身体に映っています。

ある日夢の淵からポンと落ち何をするでもなく浮かんでいると、誰かの大きな尾鰭で掬われました。

「綺麗だね。君は紫水晶?果ての泉、あの窪みの形に似ている。」

そう呟く声はメロウの唄声のようでした。

“この人魚にわたしの夢、そして秘密を語りたい。”

夜空を旅した透明な種は、今夜を境にユメを追う秘密箱となったのです。


『Small Paintings 出展作品』

「果実の鍔を覗いて」

F0号(140mm×180mm) rectangle canvas

Acryl on canvas

¥40,000

空白のない日記帳。

その丈夫な裏表紙に果実のインクを乗せます。

温室の側に寄り柵の窪みに腰掛けて、残りの実をおやつに少しだけ眠って。

起きてその大切な記録を鞄に入れ忘れるなんて、今のわたしには知る由もなく。 


『Small Paintings 出展作品』

「溶け残った跡」

F0号(140mm×180mm) rectangle canvas

Acryl on canvas

¥40,000

それは生命の樹なのだと、年老いたモグラが言いました。

地脈の一部となった跡、その中は空洞で撫でると白鯨のような声で唄います。

夢遊の獣たちの住処、夜空に伸びた者は三日月の灯火を待っているの?


『Small Paintings 出展作品』

「遠吠えの夜鏡」

F0号(140mm×180mm) rectangle canvas

Acryl on canvas

¥40,000

「星座にも見えるんだ。君に似ている。」

2匹は砂に埋まった鏡の前にわたしを招きました。

言葉の意味もわからないまま、地上の夜に触れて。

ふと視線を向けると朧げに光る箒星が毛玉たちの瞳に溶け、細やかに光っていました。

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