個展「夢遊に浮かぶ竜」作品リスト&作品購入申し込みページ
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⚫︎お申し込みについて
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✦ 作品リスト ✦
作品毎にタイトル、物語、価格、サイズを掲載しております
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P4号 333mm×220mm rectangle canvas | ¥77,000
『楽園便と夢遊船』
ふんわりと、透明鉢を抱えて飛んでいました。
これには温室で貰った花の種が入っています。
“楽園便を使うといい”
爺の言葉をすっかり忘れて僕は気ままに旅を続けています。
そんな道逸れた浮遊をしながら地を進むと、遺跡と呼ばれるモノを見つけました。
そこには小さな花が咲き、側に色褪せた手紙が残っています
文の中で、爺の教えてくれた便とは違う“夢遊船”でここへ来たこと、幼い男の子が温室で楽園を目指し研究をしていること、約束の地へは少し寄り道をしてから向かうことなどが記されていました。
「彼女はここへ来たんだ」
鋭い爪で浅く地を掘り、新たなタネを置きます。
いつかここが美しい楽園となる時、共に思い出を語れるように。
450mm×350mm ellipse canvas | ¥180,000
『これが夜空か』
今まで何ともなかった景色が「夜空」だと知ったのは、あの子に会ってからだった。
夜は星たちが小さく揺らめいていてたまに隠れたりする。
昔のこと、落ちたそれを撫でた時爪に触れた瞬間にさらさらと崩れてしまったことがあった。
そして高く舞い上がって、還るのだと思った。
その先が「夜空」と呼ぶことを知って、道が穏やかなものであるよう願うことができたんだ。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『楽園に静けさを』
あの城は、あの子が知る城なのだろうか。この尖晶石は、崩れゆくものを想う人間の夢を叶えるのだろうか。僕は鱗と爪を残して、誰かがあの地を宝石へと磨き上げることを願う。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『音のない海』
あの日「ゴウ。」という大きな音を立てながら降ってきた彗星は海の底へ還り、柔らかな波だけが静かに揺らめいている。そう。ここは音のない海の夢だ。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『光に追われて』
光に追われた夜はお城の夢へ辿り着く。その灯りを割るように星空のマリアヴェールを広げて、今夜の星々の様子は如何だろうかと誰もが覗けるように待っている。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『灯火は月の側に』
この薄ぼんやりとした世界では賑やかな音よりも月の光が強いみたい。いつもは遠くで眺めていた旅の人と毛玉たちが僕の側へ来て言う。「月の近くに居るのは、灯火の過去の姿なんだよ」と。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『灰都の満月』
灰都に差し込む満月の光は、ここにあるものが元の形をとどめていないことを強調するかのように眩しく、あちこちに反射している。あれは跡だから、モグラの住処なのだからその姿でいいはずなのに、今夜は少し寂しいように感じる。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『鳥籠を囲む星』
籠の中には何も居ない、誰も入れない。大きな音を纏った彗星がそのすぐ後ろを通っていった。僕は、星は籠に帰るものだと思って見ていたからびっくりした。そう。今夜僕は、夢は自由の地だと言ったあの子を思い出したんだ。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『空庭の絨毯』
夢の中で見るユメが覚めた時、僕はそこで何をしたのかを覚えている。雲の上を走り、爪で掻き上げた糸を空の絨毯へと編み直したんだ。次に此処へきた誰かがあの庭で休む時、もっとゆっくりできるように。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『夜光石碑』
“石碑”に書いてあったこと、あの子に伝える為にもう一度夜光を辿る。ずっと昔には踏み出すことを躊躇ったはずの、あの深い夜の中へ。
100mm×100mm square panel ¥12,000
『夜鯨へ会いに』
夜鯨に会えるかなんて分からないけれど、湖の周りを飛び回る。竜の灯火は永遠だと知ったから、この翼が夜に飽きるまで叶える道を進む。
Artwork : 90mm×65mm
Frame : 115mm×90mm
¥10,000
『白銀の梟』
「群れの中に白銀の梟が混ざっている。それは満月への導になるはずだから。」
長寿モグラから聞いた言葉を腰のランプへ灯し、長い間夜を見上げて歩いてきました。
遠くの空には星浴びをした小さな鳥が飛び、その身体は満月への道を示すように輝いています。
すると一際大きく静かな翼が近づき私たちに声をかけます。
「モグラに言われて来たのかい?君たちの探す満月はひと月も後の夜だ」
ああ、竜もモグラも長生きだから…。
Artwork : 90mm×65mm
Frame : 140mm×110mm
¥11,000
『凍蝶を待つ石』
いつかどこかで見かけた大きな鉱石が、宝石になった後のお話。
夢の中で丁寧に磨かれた石は凍蝶を待つ象徴としてここに残されました。
とはいえ今では夢遊の地を彩る立派な宝石として飾られています。
そして明日は千年に一度鱗粉が降るという夜。
とうとう蝶に会うことはできるのでしょうか。
竜はその時を見る為、もう暫くここを飛び回るようですね。
Artwork : 80mm×100mm
Frame : 110mm×130mm
¥13,000
『夜紅茶の門』
夢の中には夜紅茶というものがあり、ティーカップに注ぐと満点の星空を味わえるのだとか。
カップの中にお湯を注いで暫く眺めてみますが、そこに浮かぶのはあたたかな透明だけ。何故かって、夜紅茶は想像のもので茶葉の用意ができないからです。
そんなことよりほら、あの門からいい香りの波がたっていますよ。手に持っているそれに掬い少し味見をしてみてはいかがでしょうか。
Artwork : 70mm×120mm
Frame : 115mm×165mm
¥15,000
『竜砂と山嶺』
竜が振り落とした黒く細やかな砂は、別の夢から付けて来たものだそうです。
ある夢では種を拾い花々を纏って季節を跨いだとも聞きました。
そして今夜、山嶺であの竜は何を掬い上げ、どんな世界へ旅立つのだろう。
今すぐに彼の言葉を聞くには広すぎる夢です。
Artwork : 150mm×105mm
Frame : 230mm×180mm
¥20,000
『浜と物の夢』
夜空の真下に浜辺が広がっています。
海にも見えるその地の淵は、さらさらと音を立て少しずつ崩れ落ちていました。
誰も訪れない果ての夢はこのように風化してしまいます。
「灯火の最期だ」
と旅の人やモグラまでもが通り過ぎましたが、がおがおは気まぐれでその端に砂の門を建てることにしました。
ある夢で若いオコジョが柱を削っていたように、爪で器用に模様をつけ夕方に見た淡い紫の空色を塗っていきます。
その後この地は“浜と物の夢”と呼ばれ、欠けた淵はそのままに夢の中にあり続けるのでした。
Artwork : 90mm×65mm
Frame : 170mm×145mm
¥11,000
『峠の淡い月』
雲の峠を抜けた先に、空色を透過したようなお城が見えます。
あれは地上から此処まで続く大きな建造物なのか、それともふわふわと雲の上に乗った夢見の産物なのでしょうか。
もう少し近づいて触れてみたら、分かるかな?
100mm×150mm rectangle canvas | ¥22,000
『夢路の一角獣』
朝の光に身体が慣れた頃、竜より少しだけ小さな獣に出会いました。
彼らは互いに頭を低くし鼻先を近づけ挨拶をしているようです。
私はその様子を少し離れたところで見ていましたが、足元の毛玉たちはなにか言いたげに尾を振り一角獣と私を交互に見ています。
「水面が揺れるときっと驚いてしまうから、ゆっくりいっておいで」
ここでは種が違えど話すことができるのに、今日は久しぶりの夢の中だから忘れてしまっているようですね。
あっという間に遠くへ行った2つの影を眺めながら、私はがおがおと初めて話した時のことを思い出していました。
100mm×150mm rectangle canvas | ¥22,000
『蘇芳の小石』
日の落ちかけた夢の中、そこに佇む蘇芳のお城からは脚が竦むほどに荘厳な風の音が聞こえます。
それらはがおがおにとってとても印象的な夢だったはずですが、他と同じように夢遊から覚める毎に薄れ少しずつ忘れてしまった記憶でもありました。
ある別の夢の中、湖の畔で竜はそんな蘇芳のお城の姿を思わせる赤紫色の小石を見つけます。
「珍しい。そしてなんだか懐かしい。」
その世界はどこもかしこも翡翠で包まれていて蘇芳とはまるで繋がりの見えない景色でしたが、それ故に赤みがかった紫色の石はとても目立ち、1匹の竜を惹きつけました。
するとその石はきらりと光り、近づく竜に囁きかけます。
「また忘れかけた頃に戻っておいで。どこかへ探しにいってもいい。君と旅の約束をしたという人間が、色々な夢に蘇芳の小石を残しているから。」
あの日見た記憶は、過去に竜の尾に結を結んだあの子にとっても大切なもので忘れたくない景色だったのです。
がおがおはそれを聞くと、いつもより少しだけ速く翠夜を飛び嬉々として麦藁帽と四つ足の毛玉たちの影を探し始めました。
……あんなに尾を振り回して、彼女に会う時までにリボンが解けないといいのですが…。
100mm×150mm rectangle canvas | ¥22,000
『珊瑚と貝模型』
夢の中ではよく知られた、物が時間をかけて別の何かに姿を変えるというお話。
この夢遊の地に広がる桃色の珊瑚はいつか、人の手を借りずに白い鳥籠へ変化していくのだそうだ。
「__…!」
僕の目の前にある大きな籠からほんのりと海の夢の香りがする。
足元でさらさらと流される桃色の砂も、あの鳥籠の元となった珊瑚の美しい残影なのだろう。
僕は貝模型に少しだけの砂と白い欠片を掬い入れ、記憶の戸棚の一部屋へそっとしまった。
150mm circle canvas | ¥30,000
『湖瑠璃という名』
「予想以上の夢、煌びやかな世界だね」
前の夢からはとても短い旅路でしたが毛玉たちは嬉しそうに水面へ口をつけます。
「湖の水、美味しい?私も飲みたいな」
すると2匹とわたしの様子を見て、道案内をしてくれたがおがおが言いました。
「夢遊の地では瑠璃を作る時にその大きさによって“湖”や“泉”を入れた名をつけるんだ。それは青の呼び名であって、場所を指す言葉ではないんだよ。」と。
いつの間に彼はこんなにも夢の世界の理を知ったのだろう。そしてどれだけの時間を過ごしたのでしょうか。
毛玉たちは顔を見合わせ、わたしが星に願うことも待たずに夜へ向かって吠えました。
「「もっと色々な話を聞かせて!明日でも、今夜すぐにでも!!」
200mm circle canvas | ¥42,000
『竜を待つ島』
青い睡蓮の花は島ひとつよりも大きく、その花弁の影には様々な生き物が暮らしていました。
しかし花は波と風に削られ砂となり、長い時間をかけて小さな孤島として生まれ変わります。
そしてその間生き物たちは海底に落ちた“珍しいもの”と“美しいもの”を集めては砂の層に重ねていくのだそうです。
この夢を見ていた1匹の竜は、「僕は息が続かないから底へは行けないけれど、これを置いていこう。」と海の宝石の代わりに珍しい種を残しました。
長い時が経ちそこに咲いた珍しい花が島と成った時、その孤島は生き物たちによって“竜の巣”と名付けられます。
あの日気まぐれでこの夢を訪れた君が自身の永遠の灯火に退屈した時、いつでも帰って来れるように。
160mm×220mm ellipse canvas | ¥42,000
『宵を覚えていて』
「次の旅では遠くに見えるあのお城の裾を見ておいでよ、境界が綺麗だから。」とあの子は言っていたけれど、僕の翼にかかればひとっ飛びだ。
12回ほど羽ばたき目を開ける。
目の前には大きなお城。やっぱりすぐだった。
鏡のように映し出された星空を見下ろしながら言われた通りに裾を眺めていると、波紋が空を波うたせながら僕に話しかけてきた。
「私たちの名前は宵。あまり知られていないのか、知っているのか分からないけれど中々そう呼ぶ旅の人は少ない。覚えていて、光が落ちた時間にまた会いましょう。」
僕がぱちりと瞬きをする間に境界は平穏を取り戻し、音は聞こえなくなっていた。
お城の裾が浸かっている。青く深い、静かな宵の中に。
僕は過去に夜空を知り、そして今夜別の名を覚えた。
160mm×220mm ellipse canvas | ¥42,000
『夕彩の光が落ちて』
人ではない、夢に住む何かが空へ星天燈を上げました。
きっと夜と月明かりの時間に行われるのだろうとばかり思っていましたが、人の手が加わらないこの地では違ったようです。
その姿はまるで“流れ星”のようでした。
それは夕彩の美しい空へ向けて、願いを乗せて還っていきます。
私は暫くの間、その様子を静かに眺めていました。
大きな彗星が星天燈の間を縫い反対に向けて落ちていくのを見つけるまでは。
「____?」
“それ”は透明の星、夕彩そのものが落とした願いでした。
そう、空の夢は地に降り、地の願いは空へ還る。
当たり前のように思っていたけれど、多くの旅の人が忘れてしまった美しい理。
竜に伝えたい/あの子に話したいお話がまたひとつ、増えた夜となりました。
200mm×200mm×50mm | ¥52,000
※こちらは通常より厚みのある作品です
『眠りの戸棚』
いつも通りの視界、よく見る夢の中でがおがおは長い時を浮遊します。
夜空を知った竜は地から遠く離れた夜の中を飛ぶことが増えていきました。
普段なら出会えたであろう未知に気づくこともない、翼を持つ彼だけの静かな夜の世界。
少し前まで好奇心のままにいくつもの石碑を読み尾鰭や小さな生き物の話を聞いて沢山のことを覚えていましたが、今は空でひとやすみ。
そうして時間をゆっくり過ごしていく間に物語を記憶の戸棚へ振り分けているようです。
___キラリ。
…………?__!!
ああ、途中で流れ星を見つけてしまったから、夜の池と空の滝のお話があべこべに…。
M3号 273mm×160mm | ¥53,000
『硝子の種』
“むかし花籠を届けたあの地へ向けて、旅を始める。”
透明の種を見つけた日、その夢の中で僕は美しい翠の門をくぐった。
それは一瞬のことで、いつもの気まぐれと寄り道。
けれど僕の翼の付け根、その鱗の一枚に何かが付いたことに気づいたんだ。
なんだろう?
縁までもが霞んでよく見えない、硝子の粒だった。
それが鋭利だったのならすぐに振り落としていたのだけれど、削られた海硝子のように丸みを帯びている。
優しい触り心地を気に入って背に乗せたまま夜を飛び、数年が経った頃。
背には翼を飾るガラスの花が咲いていた。
僕はふと思い立ち、それをある場所へ届けることに。
僕の記憶の始まり、遥か遠い雲の街へ。
「寒い日に咲く硝子、あの人間たちは珍しいと喜んでくれるかな?」
M3号 273mm×160mm | ¥53,000
『楽園の橋をくぐる』
楽園の橋は心の溶解に対応しているのだと長寿モグラが言いました。
「心を溶いて、できるだけの想像の中で。」
がおがおはそれを聞くと、鱗と尾、そして翼の先までもが少しの風で揺れるほどに力を抜いてその場に佇みます。
「それではここを潜れないんじゃ……」とモグラが言いかけたところで、“バシャ!さらさら……”と真上の橋が溶け崩れていきました。
近くにいたわたしたちは大きな音と波紋に驚いてがおがおの方を見ましたが、彼は大人しく目を閉じたままです。
「ねえがおがお、すごいね!全部が無くなってしまうほどに心を溶くことができるなんて。でも全然痛くない、これはとても繊細で美しい砂のヴェールだ。」
そんな私の言葉に対しても、竜は珍しく返事をしません。
「?」
「もしかして…眠っているの?」
すると今度は短い返事が返ってきます。
『……グゥ……グゥ。』
それは鼻の奥を鳴らすような心地のよい音で辺りへ響く、1匹の大きな竜の寝息でした。
M4号 333mm×190mm | rectangle canvas | ¥68,000
『翡翠砂の砦(お城)に』
砂でできた、全部がいつの日かに溶けてしまう夢。
大事に集めて重ねて、削って形を作ったたったひとつの「“ ”」がここに。
あちこちには毛玉の足跡も残っている。
さて、僕の爪はあまりにも鋭く、僕の尾はとても硬くて重い。
大きな翼は風を起こすのだから、たちまち砂が崩れて溶けていく。
ここにあるのは翡翠晶ではなく翡翠を模した砂。
僕が形作るにはあまりにも脆い世界だ。
きっとこれまでは小さなひとがここを見守っていたのだろう、境界で眠っていたオコジョがそう言っていた。
そういえばその時は、ここは立派な城だと言っていたけれど、今ではまるで砦だ。
僕にはそう見える。
もし、水晶が沢山ある夢から帰ってくるまでに此処がまだ溶けていなかったのなら、今度は永遠に崩れることのない立派な「“お城”」にしてみせよう。
M10号(530mm×333mm) | ¥210,000
『メーヴェを見つけて』
夢遊の中でメロウが言います。
“わたしの手記を覚えている?そして小さな尾鰭に会って”
私たちは夢うつつのうちに1番手前の大きな星座に手綱を掛けて夜を跨ぎ、塩湖と跡の世界へ入りました。
すると足元で「それではお城へご招待を。人間と牙の種」とまるで私たちがここへ来ることを知っていたかのように話しかけてきた魚が1匹。
少し不思議に思いつつもその尾鰭について行くと、跡の中では賑やかな祝祭が開かれており、魚はこれは新たな星座に一羽のメーヴェが選ばれた祝いなのだと言いました。
そうだ、夢幻と思った人魚のあの言葉は。
毛玉たちが尾鰭と踊る間、私は手記に僅かに残った白紙のページを開きます。
__ メーヴェを見つけたよ、とても素敵な出来事だった。私は今日のことをここへ記し、夢遊の中であなたに返そう。
“そして今度は私から、幾星霜続いた夜の誕生祭の話をしよう。”
M10号 530mm×333mm | ¥210,000
『メロウと眠りの時』
小さな魚影に囲まれて、大雨を待ちます。
鱗と尾が海に馴染むまで目を閉じで静かに眠るのです。
幾千の時が経ち、人魚にとって息のし易い良い夜が訪れました。
「さて。」
旅の人が歩ける地はとっくの昔に沈み、目覚めと共に鏡面が揺れ動いています。
そして目を覚ました人魚の周りには、昔見たままの姿で魚たちが泳いでいました。
「私の眠りに付き合ってくれたのね、ありがとう。」
「では私は私の役目を果たすとしましょう。」
明日は夜の祝い事に一羽の鳥が選ばれる日。それは人魚が起きるずっと前から決まっていた事です。
「尾鰭たち、わたしの願いを旅の人に伝えて欲しいの。“手記を覚えている?”と」
魚たちはそれを聞くと同時にどこか遠くの夢へ泳いでいきました。
そして今度は誰に向けてでもない水面へ声をかけ、それと同じ言葉を手記に書き残します。
“メーヴェを見つけて”
“私は明日を知る前にまた眠りにつく”
“だから代わりに、もしその夢を見れたなら、その記憶をここへ書き残して欲しい”と。
そうしてメーヴェは今夜ひとりで眠りにつき、また数千の時を過ごします。
次に手記を開くことを、心から楽しみに待ちながら。
F0号 140mm×180mm | ¥42,000
『星芒を辿ったら』
この石板の書では、過去の記憶を見ることができない。
そこで私たちはモグラに昔の約束を教えてもらうことにしました。
「君は、蝶が残した星芒を何と呼ぶか知っているかい?今夜の旅はその話を聞かせようね。」
F0号 140mm×180mm | ¥42,000
『暗月と鱗粉の秘密』
「あの大きな光が暗月。」
透明の住処を抱えて、竜は瞳に夜空を映していました。
「ところできみたち、いつから飛べるようになったの?」
蝶の鱗粉は、とうとうわたしと毛玉たちの浮遊の夢をも叶えてくれたのでした。
F0号 140mm×180mm | ¥42,000
『枯湖に翼を見て』
跡に埋められた光は、星の導として大切に飾られていました。
それらを横目にランプ持ちの案内に着いていくと、次の夢の壁に触れたことに気づきます。
「ねえ私たちは__…」
「ねえ僕の翼、蝶の羽に似ていると思わない?」
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